完全に積読状態になっていた昨年話題となっていたブレディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を2020年最初の本として読み終えた。

 

今年、いやこれからの僕の保育運営にも影響する可能性もあるので感想をメモしておきたい。

 

 

ローカルに仕事をする僕にとってイギリスの情報は新聞やテレビ以上のものは無い。

 

ボリス・ジョンソン首相がEU強硬離脱を熱く語っていても僕にとっては正直遠い話だ。

 

しかし、この本に描かれている世界は、日本が近い将来確実に直面し、そして悩み惑うであろう問題をリアルに感じさせてもらった。

 

比較的裕福(つまり人種も多様)なミドルクラスの子どもが通う地域一番の教育校とされる小学校で、「人種差別はあってはならないもの」と学んでいた著者の息子が、中学進学時に、白人労働者階級の子どもが多く通う「元・底辺中学校」を選んだことによって、平和だった家庭に息子が持ち込んでくる「問題」によって戸惑い、揺らぐ姿がリアルに伝わってきて、食事をすることも忘れ一気に読んでしまった。

 

通学中に見知らぬ男性に「ファッキン・チンク」(東洋系に向けた差別用語)とののしられたり、自身も移民なのにあからさまに人種差別をする同級生・ダニエルに怒りを覚えたり、衣食住が十分に整わない「アンダークラス」に属し、万引で苦しい生活を補おうとする同級生・ティムと出会ったり・・・

 

自分の子どもをその環境に置きたいかと言ったら首を縦に振れないくらい中学生が引き受けるには複雑で重い日々のトラブルの数々、「多様性はいいこと」だと学校で学んでいた息子は、頻発するトラブルの厄介さに「どうして多様性があるとややこしくなるの?」と母に質問する場面がある。

 

「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃないほうが楽よ」

 

「楽じゃないものが、どうしていいの?」

 

「楽ばっかりしてると、無知になるから。(中略)多様性は、うんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思う」

 

・・・この面倒な問題を解決するキーワードが、息子が学校で習った「エンパシー(empathy)」という概念。

 

中学生の息子はエンパシーを「自分で誰かの靴を履いてみること」であり、著者のブレディみかこさんは「自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだと思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のこと」だと語り合う。

 

そして、その力こそイギリスだけでなく、世界中で起きている混乱を乗り越えるために、これから身につけなければいけない能力なのかもしれない。

 

保育園がある南区でも在留外国人が増加の一途をたどり、過去最高を更新し続けている。

 

移民の流入に混乱するさまを、遠い国のこととして見ていられる時間はもう少ないかもしれない。

 

遠くない将来には、生まれ育ちも価値観も違った多様な人々と、関わり合って生きることになるだろう。

 

それは、同質な仲間の中で“楽”に生きてきた僕らが、“うんざりするほど大変だし、めんどくさい”ことと向き合うことを意味する。

 

環境問題、空き家住宅、貧困、少子化等々を目の前に横たわる様々な問題や課題を これからは考え方や生き方が違う異質な存在の人たちと連携して解決していかねばならない時代がやってきている。

 

それを乗り越えるためのエンパシーという能力・・・頭に刻み込みたい。


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